プロジェクターをテレビの代わりにするに当たり、何が必要なのか、テレビと比べて何がちがうのかまとめてみました。
ざっくり書いてしまうと、プロジェクターでテレビを見るに当たり考える必要があるのは下記の2つです。この2つについてまとめていきます。
①プロジェクターをチューナーを搭載した機器と繋ぐこと(ケーブルかアプリ経由)
②明るい部屋で見たい場合は、部屋の明かりにも負けない、明るいプロジェクターを選ぶこと
テレビをみる方法(チューナーを搭載した機器と繋ぐ)
テレビを見るためには、下記の3つの機能が必要です。
- 映像が映る
- 音声が聞ける(=スピーカーがある)
- テレビ放送が受信できる(=チューナーがある)
そして、この3つの機能を持っているかどうかをテレビや他の機器で比べると下の図のようになります。
映像が映る | 音声が聞ける | テレビ放送が受信できる(チューナーがある) | 録画機能(+α) | |
テレビ | ◯ | ◯ | ◯ | ▲ |
モニター | ◯ | ▲ | ☓ | ☓ |
プロジェクター | ◯ | ▲ | ☓ | ☓ |
▲(物による或いは、外付けで対応可能)
当たり前ですが、”テレビ”と名前がつくだけあってテレビはすべてを兼ね備えています。
一番大切なのがチューナーという機能なのですが、これがないとそもそもテレビ放送(地上波放送など)を受信することができません。見た目が似ているモニターとテレビの違いは、このチューナーがあるかないかが大きな違いです。
アンテナをつければ地デジが見える商品のようです。
地デジTV受信チューナー内蔵 多機能 LED プロジェクター
(WiFi ミラーリング投影機能付)VERSOSVS-P02S
多くのプロジェクターは以前チューナーを搭載していないので、
チューナー機能をもつ別の機器が必要となり、すでにチューナーを備えているテレビに比べて割高になってしまいます。(すでにBDレコーダー等をチューナーを備えている機器をお持ちの場合は別です)
Android TVについて
※ちなみによく”Android TV搭載”という触れ込みのプロジェクターを見かけますが、これはスマホに使われているAndroidOSをテレビのような機器で使いやすいようににカスタマイズしたOSがのっているだけで、OSに”テレビを見る機能”がついているわけではないので注意が必要です。
Android TVはアプリが使えるのでNetflixを見たり、”テレビ番組を視聴できるアプリ”を通してテレビをみることはできますが、ともとスマホ用に作られているアプリもあるので、Android TV上で正しく動作しない可能性があることはご注意ください。
ここまで書いたように、今の所テレビを見るにはテレビを持つのが一番コスパが良いのですが、”映画を大画面でみたい”、”テレビは邪魔なので壁にテレビを映したい”といった好みのある方にとってはテレビとの価格差以上のメリットがあるので、プロジェクターでテレビをみる方法をまとめてみました。
プロジェクターでテレビを見るには(接続方法)
上で表にしたテレビをみるための機能を図で比較すると下記になります。
テレビの場合はチューナーを備えているので、直接テレビにつなぐだけです。
モニターの場合は、チューナー機能を持っていないので、BDレコーダーなどでテレビ放送を受信し、
映像・音声をモニター&スピーカーにおくるとになります。(HDMIケーブルなどを使うことになります。)
プロジェクターの場合も、モニターの場合と同じく、BDレコーダーなどでテレビ放送を受信し、
映像・音声をプロジェクター&スピーカーに送ることになります。(HDMIケーブルなどを使うことになりますが、ものによっては無線通信できる製品も存在します。)
チューナーがネットワーク対応かつプロジェクターがAndroidアプリに対応している場合です。
スマホで使用するような外で見れる機能を使ってアプリ経由で見ることができる機種もあります。
装置と直接ケーブルで結ぶ必要がないので、ネット環境があれば無線でプロジェクターで見えます。
上記の比較から、プロジェクターでテレビを見る場合、チューナー機能を持つ機器(レコーダーなど)と繋げば原理的にはテレビを見ることができます。パソコンなどの画面を映すのと同じ要領で、レコーダーとプロジェクターをケーブルで繋げるか、アプリ経由でプロジェクターに映像・音声を送るだけです。
ここでもう一つ出てくるのがプロジェクターの明るさの問題です。
プロジェクターの明るさ問題
ここまでで、プロジェクターでテレビを見るにはチューナー搭載機器と繋げばいいとわかります。
しかし、プロジェクターの場合は壁に光を当てて映し出すので、部屋が明るい状態ではプロジェクタの光が部屋の電灯や外からの光に負けてちゃんと見えない可能性があります。映画は暗くしてみることも多いと思いますが、テレビのように日中気軽に見たいときに部屋を暗くしないといけないのは嫌だという方もいらっしゃると思います。その時は、部屋が明るくてもしかり見えるように明るいプロジェクターを購入されることをおすすめします。
※逆に、テレビを見るときは部屋を暗くすするという方は、上記のつなぎ方に気をつけていただければ問題なくプロジェクターでテレビを楽しめると思います。
明るい部屋でプロジェクターを見るときに考えられる対策は下記の2つになります。
1.部屋の光に負けないような光量の強いプロジェクターを買う
一番手っ取り早いのは光量が大きなプロジェクターを使うことです。
シアターハウスさんのサイトでも、おすすめは3000ルーメルンとありますが(最近は指標が変わりANSI ルーメンという表記で紹介されていていることおもありますが、大きく違いはないようです)、最近の小型のプロジェクターは1000以下のものも多く、日中の明るさだと表記がうすすぎて見にくくなってしまいます。
2.投影する部分を暗くするか、壁に近づけて画面のサイズを落とす。
映像を写す壁を局所的に暗くする(会社とか学校で部屋の前の方だけ暗くしたりするあれです)か、プロジェクターをより壁に近づけることで光量を確保します。後者の場合、プロジェクターを壁に近づけると映像も小さくなってしまいますので要注意です。
ネットでお勧めされているテレビ向けプロジェクターブランドや製品の明るさ
ネットでよく見るプロジェクターについてまとめていきます。
そもそも多くのプロジェクターが部屋を暗くした中での使用を想定しているなかで、日常のテレビを見る際に部屋を暗くしなくても大丈夫そうか(日中のテレビを置き換えられるものなのか)という観点で比較していますが、このあたりはメーカーさんの守備範囲外になる点はご了承ください。
一方で、実際はそんなことはないのに、明るい部屋でもきれいに写っているような商品イメージを使用されているメーカーさんもいらっしゃいますので、実際の商品の実力としてそのような(明るい環境下)使い方ができるのか判断される際のご参考にしていただければと思います。
結論からいうと、”真っ暗の部屋”以外の部屋で見るときは、1000ルーメルン以上のものを選ぶべきと思います。
Anker
Nebulaのブランド力強化中のAnker
Ankerはモバイルバッテリーで以外にも製品を多数作っていますが、
モバイルバッテリー、モバイルスピーカーなどの音響製品、ロボット掃除機などの白物家電に続く第4の柱としてプロジェクター製品を押し出していくようです。
より製品を広げていくだけの需要を見込んでいるのだと思うので、このあとご紹介する新しい商品の続編も含めて期待です。
また、2020年10月にIOデータとの提携を発表し、IOデータのチューナーを使うことで、スマホ経由でのプロジェクターにテレビ映像を送ることができるようになりました。
仕組みは上記の図であらわされています。
From Anker
Anker Nebula Capsule II
多機能でいいのですが、上記レビューにもあるようにいかんせん光量が足りないようなので、部屋が暗いか、かなり壁に近づけて光量を確保した状態(画面サイズは落ちます)での前提であれば日常使いできると思います。
また、Android TV搭載だからといってそれ単独でテレビが見えるわけではないので注意が必要です。中にはアプリでテレビ視聴しているレビューもありますが、下記のようにスマホで外で見れるように配信できるレコーダーなどを持っていることが前提になります。あるいは、
▶いいところ
- HDMI経由でいろんな機器の映像を映すことができる
- 内蔵のAndroidTVでアプリを使ったストリーミング系のコンテンツを視聴可能
- アプリに配信できるBDレコーダー(チューナー入り)などを持っていれば、別の部屋でテレビを視聴したり、録画を見たりできる可能性がある
- IOデータのチューナーとの連携でスマホ経由でテレビを視聴可能
▶不安なところ
- 商品画像にあるような、明るい場所での視聴には光量がたりない?
テレビ用としては光量不足かもしれませんが、モバイルバッテリーで有名なANKERの製品ですし、気軽に持ち出して上映会みたいなことができそうで良い商品だと思います。
Nebula Solar
後述するNebula Vega Portableと合わせて発表されたモデルになります。
よく似た2機種で違いはバッテリーの有無くらいか思いきや、明るさ、スピーカーの仕様はPortableのほうが上になっています。
解像度:FHD
輝度:400 ANSI lumen
投影インチ:40〜120インチ
スピーカー:3Wスピーカーを2つ搭載
本体サイズ:約 192× 192 × 59mm
重量:約1.5kg
Nebula Vega Portable
カテゴリとしてはモバイルプロジェクターで、性能は据え置きのCosmosに譲りますが、外出先での使用が想定される場合はいい候補になるように思います。
前述のNebula Solarと比較すると、明るさ、スピーカーの性能ともに上で、さらにバッテリーが追加され持ち運びができる1万円差なので、こちらの方がお買い得に見えてしまいます。
解像度:FHD
輝度:500 ANSI lumen
投影インチ:40〜120インチ
スピーカー:4Wスピーカーを2つ搭載
本体サイズ:約 192× 192 × 59mm
重量:約1.5kg
詳細はこちら
Nebula Cosmos
この製品はAnkerがKickstarterでプロジェクト出資を募り見事製品化にこぎつけた製品です。
4kまで映せるMaxと、FHDまで映せる無印版の二種類になります。
Cosmos
解像度:FHD
輝度:900 ANSI lumen
投影インチ:30〜120インチ
スピーカー:10Wスピーカーを2つ搭載、360度に広がる迫力あるサウンド
本体サイズ:298 x 198 x 91mm、
重量:約1.5kg
詳細はこちら
CosmosMax
解像度:4K対応
輝度:1500 ANSI lumen
投影インチ:30〜150インチ
スピーカー:10W出力のスピーカーを4つ搭載、Dolby Digital Plusによる立体音響
本体サイズ:351 x 249 x 99mm
重量:約3kg
詳細はこちら
デイブさんから引用
上記のサイトさんで通常版のレビューをされていました。照明ありで壁への投影をテストされていますが、少し薄くなってしまうようです。これが許容範囲化どうかは人によりますが、明るさ約1.5倍のMaxであれば可能性あるかもしれません。
そもそも場所を取りたくない人のニーズに合うのかと言われると微妙ですが、ビジネス系で使用されるプロジェクターよりも家に馴染みやすそうなデザインなので可能性は残されていると思います。
▶いいところ
- 音声にもこだわったオールインワンの商品
- 内蔵のAndroidTVでアプリを使ったストリーミング系のコンテンツを視聴可能
- アプリに配信できるBDレコーダー(チューナー入り)などを持っていれば、別の部屋でテレビを視聴したり、録画を見たりできる可能性がある
- IOデータのチューナーとの連携でスマホ経由でテレビを視聴可能
▶不安なところ
- 日常使いには少し大きい?
- 明るい部屋での視聴で満足できる明るさであるかは現状不明
シーリングライト型 PopIn Aladdin2
シーリングライトにプロジェクターを詰め込んでしまった革新的な商品です。
明るさは700ANSI Lumenになります。
天井にケーブルを這わせるのかと思いきや、ネット対応の機器と通信することでTV視聴を可能にしているようす。下記公式サイトで接続方法が確認できます。
DTCP-IP対応※のレコーダーでテレビ放送を受信し、それを家庭内のネットワークを使っってプロジェクターに送る方式のようです。DTCP-IP対応のレコーダーは”ほとんど対応”との記載ですが、推奨モデルも掲載されているので、心配な方はこのモデルを購入されたほうがいいかもしれません。
From PopIn Aladdin
▶いいところ
- 天井につけるので、プロジェクターの面積を取らなくていい。
- そこそこ明るい?
▶不安なところ
- ネットワーク対応のレコーダーが必要なので総じて高価
- アプリ・Wifi・本体・対応レコーダーのどれかが不調になるとTVが見えない恐れがある。
HDMIアダプタの開発が進行中 2021/05/16更新
HDMIを搭載する機器であれば接続できるようする専用のアダプタが販売されるようです。これができれば、対応機器の幅が広がるので、かなり実用的になると思います。気軽に買い換えられるタイプの商品ではないので、次世代品からの対応ではなく、後付で機能拡張に対応してくれるのはありがたいですね。
From PopIn Aladdin
アプリに配信できるチューナー例
レコーダーを持っている人はすでにテレビを持っている方が多いと思いますが、スマホでテレビが見えるなど、テレビを持っていない人に向けても訴求力を持っているチューナー製品がいくつかあり、その一つがNasneです。もともとSONYが作っていましたが、今はBuffaloが引き継で生産をしています。
アプリ側での課金など一部必要ですが、テレビ放送を受信してその放送をスマホに流したりすることができます。この、スマホで見るためのアプリはAndroid用に用意されているので、Android対応のプロジェクターであればスマホと同じ要領でテレビを見ることができます。
Nasneが公式にプロジェクターサポートを謳っているわけではないので動作が保証されるわけではないですが、最悪スマホで見れたらいいくらいの割り切りができる方はこの商品もいい選択肢になるかもしれません。
自分は主にPS4で見ていますが、スマホやタブレットでも録画予約、視聴などができ便利です。先日Baffalo製のNasneを追加購入したときに新旧Nasneの比較など書いているのでご参考になれば幸いです。
Baffalo製のnasneを購入
AnkerとIOデータが連携し、IOデータのチューナーとスマホを連携させてプロジェクターでのテレビ視聴を可能にするという発表を行いました。
仕組みは上記の図であらわされています。
直接プロジェクターに送るのではなく、スマホに一回送って、またスマホからプロジェクターに映像を送るという仕組みのようです。
プロジェクター自体にテレビが付いたわけではないですが、プロジェクターへのテレビ配信を正式にサポートするチューナーが出てきたのはいいことだともいます。
From Anker、IOデータ
まとめ
結論からいうと、”真っ暗の部屋”以外の部屋で見るときは、少なくとも1000ルーメルン以上のものを選ぶべきと思います。しかしそうゆうプロジェクターは値段が高かったり、安くても大きくて部屋に起きにくかったりすると思いますので、光量が小さくてももう少し小さいものにトライしたい人もいると思いますし、それで実際に満足できるかはその人次第です。
いずれのケースも、一回試してみてどれくらいの大きさ、輝度の製品ならどれくらいの映像が楽しめるという目星をつけるのが一番と思いますので、下記のような貸し出しサービスでお試しされるのがいいと思います。
rental.kikito
※ドコモのサービスですが、Dアカウントを作成すればどのキャリアの人も使えるようです。
プロジェクターは映画を見るときには抜群の威力を発揮しますが、テレビなど、日常での使用時が気になるとことろです。もちろん高額なプロジェクターを購入すれば明るい部屋でもくっきり見える可能性はありますが、その金額に見合うメリットがあるかはかなり個人差があります。
単純にテレビも何もないところから考えた場合、テレビの場合、最近は43inchが4,5万円で購入できること、そこににHDD(マックス1万円?)を追加して録画できるので、6万円もあれば事足ります。
それに対し、プロジェクターの場合はそれ自体で6万円位は覚悟が必要であること、そこにプラスしてテレビ放送を受信できるBDレコーダー(2~3万?)を別途購入しないといけないことを考えるとどうしても高価になってしまいます。そして、明るい部屋でも使うことを想定する場合、明るくコントラストの高いプロジェクターを選択すると価格が更に上がります。
映画以外に普段のTV視聴もプロジェクターで行いたいけど、そこまでプロジェクターにお金かけたくない方が購入に踏みきるかどうかは、ソニーさんのサイトにある、上記のような明るさで問題がないのかが分かれ目になると思います。(繰り返しになしますが、商品サイトに改定ある画像のように映像が映ると限らないので、自分の環境で一度お試しすることができればそれがベストと思います。)
ここまで書いておいてなんですが、こういった商品のレビューは、明るさなど、実環境の様子を確認できるYouTubeが一番なので一度みてみるのをお勧めします:D